Q. 猫が咳をしている。様子を見ていい?
A. 猫はもともと、ほとんど咳をしない動物です。だから「咳が続く」時点で、すでに受診のサイン。しかもその動作、毛玉を吐きたいだけに見えて、実は咳ということがよくあります。
「ケッケッと変な音を出すけど、何も出てこない」
「毛玉かと思って様子を見ていたけど、何日も続いている」──そんな飼い主さまからのご相談をよくいただきます。
この記事では、まずその動作が本当に咳なのかを見分けるところから始めます。咳だと分かったら、次は音とタイミングで原因のあたりをつけ、最後に受診の準備まで。順番に進めば、動物病院で伝えるべきことが揃います。
STEP1|その動作は、咳? 毛玉? くしゃみ?
猫の「ケッケッ」「フガフガ」は、咳・毛玉を吐く動作・くしゃみのどれなのか見分けがつきにくいと言われます[1]。見るべきは3つ、音・姿勢・お腹の動きです。
- 音
- 「ケホケホ」「コンコン」と乾いた音
- 姿勢
- しゃがんで、首を前に伸ばす
- お腹
- あまり動かない
- 最後に
- 何も出ない
- 音
- 「ゲーゲー」と低くうねる音
- 姿勢
- しゃがむのは同じ
- お腹
- 大きく波打つ
- 最後に
- 毛玉や胃の内容物が出る
- 音
- 「クシュン」と鼻から一瞬
- 姿勢
- ほとんど変わらない
- お腹
- 動かない
- 最後に
- 鼻水が飛ぶことも
お腹が波打って、最後に何か出れば吐く動作。お腹が静かで、何も出ないまま繰り返すなら咳です。毛玉だと思っていた動作が咳だった、というのは本当によくあります。
よく聞かれる3つの音。どれが咳?
ご相談でいちばん多いのが、この3つの音です。文字で書くと似ていますが、体のどこから出ている音かが違います。
喉や胸のあたりから出る、乾いた音です。しゃがんで首を伸ばす姿勢とセットなら、咳と考えて受診の準備を。
鼻づまり(猫風邪など)のほか、逆くしゃみのこともあります。逆くしゃみは鼻から勢いよく息を吸い込む発作で、多くは1分前後でおさまり、その後はけろっとしています[5]。咳が「吐き出す」動作なのに対し、逆くしゃみは空気の向きが真逆(吸い込む)。これが見分けの決め手です。
お腹が波打ち、最後に毛玉や胃の内容物が出ればこちらです。ただし何も出ないまま繰り返すなら、咳を疑ってください。
①お腹は波打っている?(波打つ=吐く動作)→ ②空気を吸い込んでいる?(吸い込む=逆くしゃみ)→ ③どちらでもなく、乾いた音を繰り返す=咳
なぜ「猫の咳」を軽く見てはいけないのか
猫はもともと、ほとんど咳をしない動物です。咳を起こすセンサーが気道の奥(肺の末梢)にないため、犬にくらべて咳が出にくいつくりをしています[2]。
裏を返すと、咳が出ているのは「それだけの何かが起きている」ということ。数日続く・繰り返すなら、様子見をせず動物病院に相談してください。
STEP2|音とタイミングから、原因のあたりをつける
受診が決まったら、当日までに「どんな音か」「いつ出るか」を観察しておきましょう。ここが診察で最も役立つ情報になります。代表的な原因は次のとおりです(自己判断はせず、必ず受診してください)。
ウイルスや細菌の感染で、くしゃみ・鼻水とともに咳が出ます[1]。子猫や多頭飼いのご家庭で多くみられます。
ここは犬と大きく違う点です。猫に多い肥大型心筋症では、咳はほとんど出ず、呼吸が浅く速くなるのが主なサインとされます[4]。「咳がないから心臓は大丈夫」とは言えません。→ 猫の呼吸が早い/猫の肥大型心筋症
気道の異物、細菌性の肺炎、気管や肺の腫瘍でも咳が出ます[2]。原因の特定には聴診やレントゲンなどの検査が必要です。
STEP3|受診の準備。動画を撮っておく

咳は、診察室では出ないことがほとんどです。だからこそ動画がいちばんの手がかりになります。獣医師さんが「咳なのか吐く動作なのか」「どんな音か」を直接確認でき、診断の大きな助けになります[1]。
- 横から撮る(姿勢とお腹の動きが映ります)
- 音が入るように、テレビなどは消して
- 「1日何回」「いつ出やすいか」をメモしておく
この症状があれば、様子を見ずにすぐ病院へ
・口を開けて呼吸している(猫の開口呼吸は緊急性が高いサイン)
・舌や歯ぐきが青紫っぽい(チアノーゼ)
・発作的で、なかなか止まらない咳
・ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音
・咳に加えて元気がない・食欲がない
とくに開口呼吸は一刻を争うことがあります。すぐやることは猫の口呼吸の記事にまとめました。
おうちでできる、気道にやさしい環境づくり
先にお伝えしておくと、ご家庭で咳そのものを止める方法はありません。人用の咳止めを飲ませるのも絶対に避けてください。猫に危険な成分が含まれていることがあります。
できるのは、咳の引き金を減らして、これ以上つらくしないことです。
- 空気の刺激を減らす|タバコの煙・アロマ・スプレー・ハウスダストは咳の引き金に。喘息の子はとくに注意
- 湿度は50〜60%|乾燥は気道への刺激になります[1]
- 咳き込んでいる最中は騒がない|追いかけたり抱き上げたりせず、静かに見守る
咳の先に、呼吸のつらさが来たときの備え
喘息や心臓の病気が進むと、咳だけでなく呼吸そのものがつらくなることがあります。獣医師さんから在宅での酸素ケアをすすめられるのは、多くがこの段階です。
在宅で酸素ケアを始めるには、3つの道具が必要です。
当店では、この3つをまとめたNEVOTONシリーズの3点セットをお届けしています。猫ちゃんはSサイズが基本。多頭飼いや体格の大きな子にはMサイズもご用意しています。
3点セット S|〜10kgの猫に 酸素発生器+酸素室S+酸素濃度計 3点セット M|多頭・大きめの子に 酸素発生器+酸素室M+酸素濃度計「そもそも酸素室ってなに?」という方はペット酸素室とは?、猫への向き不向きは猫に酸素室は必要?、費用の考え方はレンタルと購入の判断基準で解説しています。サイズ選びに迷ったら、本格屋スタッフにお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
猫がフガフガいうのは咳ですか?
フガフガという音は、咳のほか鼻づまり(猫風邪など)でも聞かれます。しゃがんで首を伸ばし、乾いた音を繰り返すなら咳の可能性があります。動画を撮って動物病院で確認してもらうのが確実です。
「ケッケッ」という音の正体は何ですか?
乾いた「ケッケッ」「ケホケホ」は咳のことが多い音です。毛玉を吐く動作の「ゲーゲー」との違いは、お腹が波打つかどうか・最後に何か出るかどうか。何も出ないまま繰り返すなら、咳として受診を検討してください。
むせるような咳をするのはなぜですか?
猫喘息や気管支炎などで気道が刺激されると、むせるような発作的な咳が出ることがあります。食事中だけなら一時的なむせのこともありますが、食事と関係なく繰り返すなら受診のサインです。
家で猫の咳を止める方法はありますか?
ご家庭で咳そのものを止める方法はありません。人用の咳止め薬は猫に危険な成分が含まれていることがあるため、絶対に使わないでください。できるのは、煙やホコリなどの刺激を減らし、湿度を50〜60%に保って、これ以上つらくしないことです。咳を抑える治療は動物病院で相談してください。
咳は何日くらい続いたら受診すべきですか?
猫はもともとほとんど咳をしない動物のため、数日続く・繰り返す時点で受診をおすすめします。止まらない咳・開口呼吸・チアノーゼがあれば、日数を待たずすぐにご連絡ください。
たまに咳をするだけなら大丈夫ですか?
頻度が低くても、繰り返しているなら一度相談しておくと安心です。猫喘息は発作の間隔が空くこともあります。動画を撮っておき、健診のついでに見てもらうのもよい方法です。
咳とくしゃみの見分け方は?
くしゃみは鼻から「クシュン」と一瞬。咳はしゃがんで首を前に伸ばし、喉や胸から乾いた音が出ます。まぎらわしいのが逆くしゃみで、こちらは鼻から勢いよく息を吸い込む発作。多くは1分前後でおさまり、その後はけろっとしています。空気の向きが咳と逆、と覚えてください。
猫の咳は心臓と関係ありますか?
関係することはありますが、注意点があります。猫に多い肥大型心筋症では咳がほとんど出ず、呼吸が浅く速くなるのが主なサインとされます。「咳がない=心臓は大丈夫」ではないため、安静時の呼吸数(1分20〜30回が目安)もあわせて確認してください。
本格屋のNEVOTON(酸素発生器・酸素室)は医療機器ですか?
いいえ。当店のNEVOTONシリーズは、ご家庭で使う「家庭用機器」であり、医療機器ではありません。診断・治療・病気の予防を目的とした使用はできません。「常に高い濃度が必要」「片時も酸素室から離せない」といった重篤な状態のときは、動物病院の医療機器のほうが安心です。獣医師から医療機器での管理をすすめられた場合は、必ずその指示に従ってください。
- リアンアニマルクリニック「猫の咳は病気のサイン?毛玉との見分け方と受診が必要な症状」lien-ac.com(咳=乾いた音・首を伸ばす・お腹は動かない/毛玉=ゲーゲー・お腹が波打つ・毛玉が出る/動画撮影が有効/湿度50〜60%)
- ペット保険のPS保険「猫の咳の原因とは?」pshoken.co.jp(猫は咳をあまりしない動物・咳のセンサーが気道の末梢にない・原因となる病気)
- ほさか動物病院「猫の咳の原因と対処法」hosaka-ah.co.jp(猫喘息・感染症・異物・心臓病・腫瘍/緊急性の高いサイン)
- 亀有東和動物病院「猫の肥大型心筋症ってどんな病気?」kameari-towa.com(猫の肥大型心筋症では咳がほとんど出ず、呼吸が浅く速くなるのが主なサイン)
- 茶屋ヶ坂動物病院「猫の逆くしゃみとは?原因や注意すべき症状・対処法」chayagasaka-ah.jp(逆くしゃみ=鼻から勢いよく息を吸い込む発作/通常1分前後でおさまる/咳とは空気の向きが逆)
※ 本記事は上記を参考に、本格屋スタッフが一般的な情報としてまとめたものです。診断・治療は必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。
まとめ
- その動作が咳か吐く動作かは、お腹が波打つか・最後に何か出るかで見分ける
- 猫はほとんど咳をしない動物。咳が続く時点で受診のサイン
- 猫の心臓病では咳より「呼吸が速い」が主なサイン。咳がなくても油断しない
- 開口呼吸・チアノーゼ・止まらない咳は時間帯を問わずすぐ病院へ
- 受診には動画を。診察室では出ないことがほとんどです
「毛玉かな?」で片づけてしまいがちな動作の中に、大切なサインが隠れていることがあります。迷ったら、動画を持って獣医師さんへ。それがいちばんの近道です🐱


