「胸に水がたまっています」。動物病院でそう言われて、頭が真っ白になった方も多いのではないでしょうか。呼吸に直接かかわる状態なので、不安になるのは当然です。
この記事では、飼い主さまからよくいただく疑問に、順にお答えしていきます。とくに検索の多い「自然に治るのか」「余命はどれくらいか」「楽な姿勢はあるのか」の3つは、それぞれ章を設けました。
いま呼吸が苦しそうなら、この記事を読む前に
口を開けて呼吸している/前かがみで首を伸ばしている/じっとうずくまって動かない/舌や歯ぐきが紫っぽい。ひとつでも当てはまれば、いま動物病院へ連絡してください[1]。
胸水は、たまる量が増えると急に呼吸が悪くなることがあります。「少し様子を見よう」がいちばん危険といわれます[1]。
胸水とは、どういう状態か
胸水とは、肺の外側(胸腔)に液体がたまった状態です。肺そのものの病気ではなく、たまった水が外から肺を押しつぶすため、肺がふくらむ余地を失って呼吸が苦しくなります。
ここが大事な点で、胸水は「病名」ではなく「結果」です。何かの病気が背景にあって、その結果として水がたまります。だから治療も、水を抜くことと、原因そのものへの治療の両方で進みます。
猫では、こんな原因が知られています
| 原因 | 特徴 |
|---|---|
| 心臓の病気 | 肥大型心筋症など。心臓の働きが落ちて血液の流れが滞り、水がたまります[1](→猫のHCM) |
| 腫瘍 | 猫では縦隔型リンパ腫が多く、呼吸困難を起こしやすいといわれます[1] |
| 感染症 | FIP(猫伝染性腹膜炎)による強い炎症、ケンカの傷などから細菌が入る膿胸[2] |
| 外傷 | 交通事故や転落による胸の損傷・出血[1] |
| その他 | 肝臓や腎臓の病気で血液中のたんぱく質が減ることでも起こります[1] |
原因を確かめるために、聴診・レントゲン・エコー、抜いた水の色や性質の検査などが行われます[1]。原因によって、その後の見通しも治療も大きく変わります。
よくある疑問① 自然に治ることはある?
いちばん多く検索されている疑問です。率直にお伝えすると、胸水が自然に引くのを待つ、という考え方は取られません。水がたまり続ければ肺が押されて呼吸ができなくなるためです。
ただし「治らない」という意味ではありません。背景の原因が治療できるものであれば、水がたまらなくなることはあります。たとえば膿胸のように感染が原因なら、治療で改善が見込める場合があります。一方、心臓の病気や腫瘍が背景なら、水を抜きながら原因の治療を続けていく形になります。
見通しは原因によって本当に幅があります。その子の場合どうなのかは、検査結果を持っている獣医師にしか答えられません。この記事の数字や説明は、質問を整理するための材料としてお使いください。
よくある疑問② 余命はどれくらい?
これも多い検索です。ただ、「胸水だから余命○か月」という数字は存在しません。胸水は結果であって、寿命を決めるのは背景の病気とその進み方だからです。
同じ「胸水がたまった猫」でも、感染が原因で治療により改善する子と、進行した心臓病や腫瘍が背景にある子では、その後がまったく違います。ネットで見かける数字は、あくまで特定の病気・特定の状態の統計です。目の前の子に当てはまるとは限りません。
診察のときは、余命そのものを聞くより次の3つを確かめるほうが、その後の暮らしを組み立てやすくなります。
心臓・腫瘍・感染・外傷など。ここで見通しが大きく変わります。
通院の見通しが立ちます。抜く頻度が上がってきたら、それも大事な情報です。
「どうなったらすぐ連れてくるか」を具体的に聞いておきます。

よくある疑問③ 楽な姿勢はある?
「少しでも楽にしてあげたい」という気持ちから、多く検索されています。まずお伝えしたいのは、楽な姿勢は、猫が自分で選びますということです。
胸水がたまっているとき、猫は前かがみで首を伸ばし、胸を張るような姿勢をとることがあります[1]。伏せずに座ったまま眠ろうとするのも同じ理由です。息が入りやすい姿勢を、本能で選んでいます。
抱き上げたり、横にしたり、体勢を直したりしないでください。猫が選んだ姿勢が、いまいちばん楽な姿勢です。
前かがみの姿勢を支えられるよう、丸めたタオルを胸の前あたりに。押しつけず、そっと置くだけで十分です。
抱っこ、なでる、呼びかける、ほかのペットを近づける。どれも呼吸の負担になります。そばで静かに見守ってください。
室温20〜28℃・湿度40〜60%が目安です[3]。暗めの静かな場所を用意します。
「様子を見る」判断をしない。体勢を変えるだけでも容態が悪くなることがあるといわれる状態です[2]。姿勢を工夫するのは、あくまで受診するまでのあいだの話です。
自宅で水を抜く方法はありません。胸水を抜くのは、動物病院で行う医療処置です。
移動のときも同じです。キャリーに毛布をかけて暗くし、揺らさないように運びます。出発前に病院へ電話しておくと、到着後すぐに処置に入れることがあります[1]。
水を抜いたあとの過ごし方
胸腔穿刺(きょうくうせんし)で水を抜くと、肺がふくらむ余地が戻ります。呼吸がぐっと楽になることもあります。ただし原因が残っていれば、また水がたまります。この処置がくり返し行われることも珍しくありません[1]。
そこでご家庭の役目は、次にたまってきた兆しに早く気づくことになります。目印は呼吸数です。落ち着いているときの猫は1分間に20〜30回が目安[3]。処置のあと落ち着いた時期の数を「その子の平常値」として控えておくと、増えたときに気づけます。数え方は猫の呼吸が早いのはなぜ?にまとめています。
在宅の酸素ケアという選択肢
呼吸がつらい時期には、酸素吸入が併用されることがあります[1]。入院中に酸素室で管理され、退院後に「家でも酸素を使えたら」とご相談をいただくことがあります。胸水がたまって検査を受けている段階のご家庭から、こんなお声をいただきました。
15歳の猫が急に食欲がなくなり呼吸が荒くなったので病院へ。胸水が溜まっており今検査中の中病院に行くだけでもストレスで胸水を抜く途中で酸素室に入れられてしまうほどに…。家に帰っても心配だったので急遽購入しました。(中略)少し呼吸が楽な様です。(中略)家にいる時に安心です。
楽天市場のレビューより(★4・15歳の猫のご家庭)
※ 個人のご感想であり、効果を保証するものではありません。感じ方には個体差があります
このお声のとおり、胸水の子は通院そのものが負担になることがあります。家で休める環境を整えておくと、その負担を少し軽くできます。
家庭用機器か、医療機器か
当店のNEVOTONシリーズ(酸素発生器・酸素室)は、ご家庭で使う「家庭用機器」であり、医療機器ではありません。診断・治療・病気の予防を目的とした使用はできません。胸水を減らすものでも、抜く代わりになるものでもありません。
「常に高い濃度が必要」「片時も酸素室から離せない」といった重篤な状態のときは、動物病院の医療機器のほうが安心です。獣医師から医療機器での管理をすすめられた場合は、必ずその指示に従ってください。在宅酸素を使うかどうかも、必ず獣医師にご相談ください。
まとめ
背景の病気(心臓・腫瘍・感染・外傷など)を確かめることが最初の一歩です。
ただし原因が治療できるものなら、たまらなくなることもあります。
寿命を決めるのは背景の病気です。診察では原因・次に抜く見通し・受診サインを確かめます。
姿勢を変えさせず、寄りかかれるものを置き、興奮させない。涼しく静かに保ちます。
安静時20〜30回が目安です。落ち着いた時期の数を平常値として記録します。

よくあるご質問
猫の胸水は自然に治りますか?
自然に引くのを待つ、という考え方は取られません。水がたまり続けると肺が押されて呼吸ができなくなるためです。
ただし「治らない」という意味ではありません。背景の原因が治療できるものであれば、水がたまらなくなることはあります。心臓の病気や腫瘍が背景にある場合は、水を抜きながら原因の治療を続けていく形になります。見通しは原因によって大きく変わるため、検査結果を持っているかかりつけの獣医師にご確認ください。
胸水がたまった猫の余命はどれくらいですか?
「胸水だから余命○か月」という数字はありません。胸水は結果であって、寿命を決めるのは背景の病気とその進み方だからです。感染が原因で改善する子と、進行した心臓病や腫瘍が背景にある子では、その後がまったく違います。
診察では余命そのものより、① 水がたまる原因 ② また抜く必要が出そうか・その間隔 ③ 家で気をつけることと次に受診すべきサイン、の3つを確かめるほうが、その後の暮らしを組み立てやすくなります。
胸水で苦しそうなとき、楽な姿勢はありますか?
楽な姿勢は猫が自分で選びます。胸水がたまっているとき、猫は前かがみで首を伸ばし、胸を張るような姿勢をとることがあります。伏せずに座ったまま眠ろうとするのも同じ理由で、息が入りやすい姿勢を本能で選んでいます。
飼い主さまができるのは、①姿勢を変えさせない(抱き上げない・横にしない)② 丸めたタオルなど寄りかかれるものをそっと置く ③興奮させない ④ 涼しく静かに、の4つです。姿勢の工夫は受診までのあいだの話で、様子を見る判断はしないでください。
胸水は、どれくらいの頻度で抜くのですか?
その子の状態によって変わり、当店からお答えできる数字ではありません。原因が残っているとまた水がたまるため、くり返し抜く処置が必要になることも珍しくないといわれます。
大切なのは、抜く間隔が短くなってきていないかを把握しておくことです。処置のたびに日付を記録しておくと、変化が見えます。次に抜く見通しは、かかりつけの獣医師にご確認ください。
胸水を家で抜くことはできますか?
できません。胸水を抜くのは胸腔穿刺という医療処置で、動物病院で行うものです。ご家庭で行う方法はありません。
ご家庭でできるのは、猫が選んだ姿勢を保てるように環境を整えること、呼吸数を記録すること、そして受診のサインを見逃さないことです。
胸水がたまっているとき、酸素室は役に立ちますか?
呼吸がつらい時期には酸素吸入が併用されることがあり、退院後に在宅で酸素を使う方もいらっしゃいます。ただし酸素室は胸水を減らすものでも、抜く代わりになるものでもありません。あくまで呼吸の負担が少ない環境をつくるためのものです。
使うかどうかは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。重篤な状態のときは、動物病院の医療機器での管理のほうが安心です。
通院のたびに猫がぐったりします。どうすればいいですか?
胸水の子では、移動そのものが負担になることがあります。キャリーに毛布をかけて暗くし、揺らさないように運ぶ、出発前に病院へ電話して到着後すぐ処置に入れるようにしておく、この2つで負担を減らせます。
通院の頻度や間隔についての心配は、遠慮なく獣医師に相談してください。往診に対応している病院もあります。
本格屋のNEVOTON(酸素発生器・酸素室)は医療機器ですか?
いいえ。当店のNEVOTONシリーズは、ご家庭で使う「家庭用機器」であり、医療機器ではありません。診断・治療・病気の予防を目的とした使用はできません。
「常に高い濃度が必要」「片時も酸素室から離せない」といった重篤な状態のときは、動物病院の医療機器のほうが安心です。獣医師から医療機器での管理をすすめられた場合は、必ずその指示に従ってください。
在宅酸素を検討する段階になったら
獣医師から在宅の酸素ケアを提案されたら、必要になるのは酸素室・酸素発生器・酸素濃度計の3つです。酸素室だけでは酸素は出ず、濃度計がなければ「いま何%か」も、中が暑くなっていないかも分かりません。
ご紹介するのは酸素発生器がMAF mini 1.5のセットです。酸素室をSとMの両方から選べること、酸素をつくる部品(ゼオライト)の耐用時間が5,000時間と長く、使う時間が長くなっても対応しやすいことが理由です。
3点セット S|〜10kgの猫に1匹で使う、標準のサイズ 酸素発生器MAF1.5+酸素室S+酸素濃度計 3点セット M|長時間・多頭のご家庭に
中に水や寝床を置いても余裕があります 酸素発生器MAF1.5+酸素室M+酸素濃度計
「うちの子にはどちらが合うでしょうか」というご相談も、本格屋スタッフにお気軽にどうぞ。体重や体の大きさをお聞きして、いっしょに考えます。
レンタルと購入で迷っている段階の方は、ペット酸素室のレンタル|購入との違いと、期間が読めないときの決め方もあわせてご覧ください。
- アイリス動物医療センター「猫の胸水とは?呼吸が苦しそうなときに知っておきたい原因と診断の重要性」iris-vethosp.com(症状=呼吸が速く胸が大きく上下する/開口呼吸/前かがみで首を伸ばす姿勢/じっとうずくまる/チアノーゼ。開口呼吸は緊急のサイン/原因=肥大型心筋症などの心臓病・縦隔型リンパ腫・FIPなどの感染・外傷・低タンパク血症/診断=聴診・レントゲン・エコー・穿刺検査/緊急時は胸腔穿刺と酸素吸入の併用・再貯留時は繰り返しの穿刺や長期の内科治療/興奮させずキャリーへ・無理に抱き上げない・車内を涼しく揺れを最小限に・出発前に病院へ電話・「少し様子を見よう」は非常に危険)
- 湘南ルアナ動物病院「犬猫の胸水貯留とは?危険な症状と応急処置について」ruana-ah.com(腹式呼吸や浅速呼吸などの異常な呼吸様式/体勢を変えるなど少しの変化で容態が悪化する可能性があり、極力体勢を変えずに実施できる検査・処置から行う/呼吸困難がある場合はまず酸素療法)
- 日本動物医療センター/富士見台どうぶつ病院ほかjamc.co.jp(猫の安静時呼吸数は1分間に20〜30回・15秒数えて4倍して計算/快適な室温20〜28℃・湿度40〜60%)
- 本格屋 商品仕様・お客様レビュー(MAF mini 1.5=オイルレスモーターで連続稼働に対応・ゼオライト耐用5,000時間/オキシボックスS=幅60×奥52×高50cm・M=幅85×奥60×高60cm/在宅の酸素室の目安濃度30〜40%/楽天市場レビュー)honkakuya.com
※ 本記事は上記を参考に、本格屋スタッフが一般的な情報としてまとめたものです。胸水の原因や見通しを判断できるのは、検査を行った獣医師だけです。診断・治療・今後の見通しについては、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。
※ 当店のNEVOTONシリーズは家庭用機器であり、医療機器ではありません。獣医師から医療機器での管理をすすめられた場合は、必ずその指示に従ってください。


